こんにちは、ホタテです。
再生可能エネルギー銘柄のレノバ(9519)の株価が急落していますので分析をしてみたいと思います。
株価急落の原因
2021年12月24日にレノバより以下のプレスリリースが出ています。
持分法適用関連会社である秋田由利本荘洋上風力合同会社は、「秋田県由利本荘市沖(北側・南側)海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進区域」における事業者の公募に応募しておりましたが、12 月 24 日、経済産業省及び国土交通省により選定されませんでした。
このプレスリリースを受け、2021年12月27日のレノバの株価は4,600円からストップ安の3,900円となっています。
「秋田県由利本荘市沖(北側・南側)海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進区域 」の事業者は秋田由利本荘オフショアウィンドが選ばれています。構成員は三菱商事エナジーソリューションズ株式会社、三菱商事株式会社、株式会社ウェンティ・ジャパン、株式会社シーテックからなります。
大手商社である三菱商事や、中部電力の子会社であるシーテックが構成員として入っています。
なぜストップ安まで株価が下落したのか?
通常ひとつの事業に選定されなかっただけでは株価が大きく下落することはありませんが、レノバでは致命的となりました。
以下の資料はレノバの2022年3月期 第2四半期決算説明会資料からの抜粋となります。
今回選定されなかった秋田県由利本荘市沖洋上風力事業での発電量は約700MWを見込んでいました。これは現在運転中、建設中の約1GWの約70%を占める発電量になります。
上の資料の水色の開発中の約700MW分が消えたわけですので、中期、長期の目標からの大きな剥離が出てしまった訳です。また、由利本荘市沖以外の新たな大型な案件の具体例も示せておらずマイナスインパクトが強いです。
2021年3月期の決算説明会資料がいかに今回の案件がインパクトが大きいか物語っています。
由利本荘洋上風力発電事業で培った知見/競争力を2件目以降の事業にすべて投入し、持続的な成長を実現とあります。今回の案件での知見は培われていると思いますが、残念ながら競争力は全くなかったことが証明されてしまいました。
今回選定された由利本荘オフショアウィンドの電力の供給価格は経済産業省の以下のHPより11.99円/kwhとなっています。
レノバがどのくらいの供給価格だったのかは分かりませんが、2位の事業者でも17.20円/kwhとなっており大幅な開きがあることがわかります。次の事業を獲得するためにはまずこの価格差をどうにかしなければならず、高い壁になることが予想されます。
このことから、レノバの成長性が期待されず株価の急落に繋がっているものと思われます。
価格点=120点×(最も低い供給価格/当該事業者の供給価格)
同業他社、J-POWERとの比較
レノバと比較されることの多い同業のJ-POWER(電源開発株式会社)との比較を行ってみました。
※株価は2021年12月27日現在
※各種データは2021年3月時点
企業名 | 株式会社レノバ | J-POWER (電源開発株式会社) |
株価 | 3,900円 | 1,531円 |
時価総額 | 3,065億円 | 2,803億円 |
PER | 59.8倍 | 9.3倍 |
PBR | 10.4倍 | 0.33倍 |
売上高 | 205億円 | 9,091億円 |
営業利益 | 46億円 | 777億円 |
再生可能エネルギー発電設備 | 333MW | 9,179MW |
レノバとJ-POWERを比較してみると売上高では44倍、再生可能エネルギー発電設備では27倍もの差があります。これだけの差があるにもかかわらず時価総額はレノバの方が大きくなっています。
しかもこれがレノバの株価4,600円から一度ストップ安となった3,900円での時価総額ですから驚きです。ちなみにストップ安前の株価だと時価総額は3,615億円となっています。
コメント
同業他社と比較するとその企業の株価が割高なのか、割安なのかすぐにわかります。レノバの場合はかなり割高な株価となっていたと考えられます。同業他社と比較することがいかに大事かわかりますね。
株価を予想するのははばかられますが、PER15倍を一つの目安とすると1,000円以下が妥当なところかと思います。
レノバの大株主に住友林業、ミツウロコなどの企業がいますがこの辺りは上場前に出資しているようですのであまり影響はないと考えられます。レノバの株の約半数は個人投資家が保有していますので痛い目にあった個人投資家は多いのではないかと思います。
レノバのように注目されているテーマの事業を行っている企業は株価の変化が大きいので投資の際には注意が必要です。十分検討したうえで投資を行いましょう。
それではまた次回の記事でお会いしましょう。
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