こんにちは、ホタテです。
吉野家ホールディングス(9861)が2021年10月13日に株主優待の変更を発表しました。この優待の変更について深堀していこうと思います。
優待詳細
優待の変更内容
吉野家の変更前後の優待内容は以下の通りです。
主な変更点としては300円券→500円券に変更、100株の優待金額は改悪となり3,000円→2,000円、200株~999株の優待が新設となります。
変更前 | 変更後 | ||
保有株数 | 優待内容 | 保有株数 | 優待内容 |
100株~999株 | 300円券10枚(3,000円) | 100株~199株 | 500円券4枚(2,000円) |
200株~999株 | 500円券10枚(5,000円) | ||
1,000株~1,999株 | 300円券20枚(6,000円) | 1,000株~1,999株 | 500円券12枚(6,000円) |
2,000株~ | 300円券40枚(12,000円) | 2,000株~ | 500円券24枚(12,000円) |
上記内容は半年ごとに1回、年に2回となります。(権利月は2月、8月)
優待の変更の適用は2022年2月度からとなります。
優待利回りの変更
変更前後での優待利回りは以下のように変更となります。(2021年10月15日終値2,274円で計算)
・変更前 2.64%(100株保有時)
・変更後 1.76%(100株保有時) 2.20%(200株保有時)
100株保有だと優待利回り2.64%が1.76%になります。200株の保有にしても2.20%と優待変更前の利回りに届かず優待改悪となります。
優待の変更で吉野家が得る利益
計算に必要な情報
優待の改悪で吉野家自体の経費が下がり、利益が上がるだろうと思いいくらぐらいになるのか計算してみました。
利用するのは吉野家の個人株主数と、個人の所有株式数になります。
2021年8月31日の時点で個人株主数は341,047人、所有株式数は47,579,938株となっています。一人あたりだと約140株の保有となりますので個人株主はほとんど100株の保有であることがわかります。
個人以外の株主については、優待を利用しない、保有株式数が多すぎて影響が少ないなどの理由から計算から除外します。
優待変更前のコスト
まずは変更前の株主優待のにかかるコストについて計算してみます。
株主数と株式数の合計に注意しながら割り振ると以下のようになります。優待コストは合計で約21.4億円となりました。
①保有株数 | ②株主数 | 株式数(①×②) | 優待コスト(千円) |
100 | 326,186 | 32,618,600 | 1,957,116 |
1,000 | 14,761 | 14,761,000 | 177,132 |
2,000 | 100 | 200,000 | 2,400 |
合計 | 341,047 | 47,579,600 | 2,136,648 |
優待変更後 ①1,000株保有の人が200株保有にした場合の優待コスト
続いて優待変更後のコストについて計算してみます。
優待変更後は1,000株の保有と200株の保有でそれぞれ優待の金額が年間で1万2,000円、1万円とほとんど差がありません。そのため現在1,000株保有している人のほとんどが、800株売却し200株の保有にするという前提での計算です。
①保有株数 | ②人数 | 株式数①×② | 優待コスト(千円) |
100 | 216,098 | 21,609,800 | 864,392 |
200 | 123,849 | 24,769,800 | 1,238,490 |
1,000 | 1,000 | 1,000,000 | 12,000 |
2,000 | 100 | 200,000 | 2,400 |
合計 | 341,047 | 47,579,600 | 2,117,282 |
1,000株保有する株主数を14,761人→1,000人に変更してみました。そうすると優待コストは合計で約21.2億円となりました。
優待コストが変更前とほとんど変わらず0.2億円の差しかないので、吉野家にとっては特にメリットのない優待変更となります。これを見ると改悪とは言えずただの優待変更ですね。
優待変更後 ②1,000株保有の人が200株保有にしない場合の優待コスト
最後に1,000株保有の人がほとんど株を売却せず、1,000株保有し続けた場合のコストを計算してみます。
①保有株数 | ②人数 | 株式数①×② | 優待コスト(千円) |
100 | 288,098 | 28,809,800 | 1,152,392 |
200 | 42,849 | 8,569,800 | 428,490 |
1,000 | 10,000 | 10,000,000 | 120,000 |
2,000 | 100 | 200,000 | 2,400 |
合計 | 341,047 | 47,579,600 | 1,703,282 |
1,000株保有する株主数を14,761人→10,000人に変更してみました。そうすると優待コストは合計で約17億円となりました。
吉野家にとっては約4.4億円のメリットとなりますが、この株主構成は実際にはあり得ないと思います。今回の優待の変更で1,000株保有のメリットが少ないこと、200株保有の利回りが1番良いので200株保有する株主がかなり増えることを考えると少し無理のある人数構成となってしまいました。
コメント
吉野家から優待の変更が発表された際、変更後の内容に違和感を感じたので詳細コストについて確認してみました。2022年2月の株主構成は「 優待変更後 ①1,000株保有の人が200株保有にした場合の優待コスト 」に記載したような構成になると思います。
あくまでもざっくり計算なので正確というわけではありませんが、吉野家にとっては優待変更前後でのコストが約21億円と変わらず優待を変更するメリットがありません。さらには優待の利回りが下がるので株主にとっては改悪となる変更です。吉野家にとっても株主にとっても何のメリットもない変更になってしまっています。
いくら何でも優待の変更前に株主構成の予測等は行っているはずなので、このような変更はしないと思いますが…。2022年2月度の株主の状況はまた発表されると思いますので、その際はこの予測が正しかったか確認してみたいと思います(^^)
それではまた次回の記事でお会いしましょう。
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